だから、このとき私には聞こえなかったんだ。 雨の音と、雷の音と、ヘッドホンに邪魔されて。 『…俺だって好きだよ、馬鹿』 私の隣で大好きな人が呟いた、 その切ない声が。 私の耳に届いてはいけない、 届かないと分かっているからこそ口にした、 雨にかき消されたその響きが。