佐伯先生の優しすぎる嘘





「終わった…」




最後のプリントにホチキスをとめて、ふう、とため息をつく。



瞬間。



ピカッと光った真っ黒な空。

反射的に目を閉じると、少し後に聞こえた大きな雷の音。



「っ、」



キュッと耳を塞いでその場にしゃがみこむ。



「や、だ…」



お化けも虫もそんなに怖くはないけれど、雷だけは小さな頃から本当に嫌いだった。



怖い…。



でもそんなこと誰にも言えなくて、怖がる桃果に大丈夫だよ、なんて言って励まして。


本当に一番震えていたのは私だった。




もう一度ピカッと光った空に、さらに身を縮こまらせると。




耳が痛くなるような大きな雷鳴とともに、ガラッと開いた教室のドア。


そのことにまたびっくりして、抱いた膝に顔を埋めた。






「まだ残ってたの?」






大きな雨の音の中で、やけにクリアに私の耳に届いたその声は、私の大好きな人のそれだった。