雨は、時々やんで、また降って。

大雨を連れてやってきた。





「今日は午後から大雨になるらしいから、放課後遅くまで残るなよ」





帰りのホームルーム。

佐伯先生の声に、少し寂しくなった。


話したい。

…できないけど。


もうすぐ夏休みが来たら、毎日佐伯先生を見ることすらできなくなるんだ。


そんな夏休みなら、来なければいいのに。

見てるだけでも苦しいけど、会えないのはきっと、もっと辛いんだろう。




「杏奈、大丈夫?」




めっきり佐伯先生と話すことがなくなった私の顔を、心配そうに夕羽が覗き込んだ。



「あはは、大丈夫だよー」



そんな私の作り笑いは完全にバレているようで、夕羽は少し眉を下げて、いちごみるくの飴をくれた。




…うーん、そろそろ落ち込むのやめないとな。

夕羽にまで心配かけちゃった。


…でもそれって、佐伯先生を諦めることになるのかなぁ…?