佐伯先生の優しすぎる嘘




それからだったんだ。

佐伯先生を好きになっていったのは。




家に帰る頃には、土砂降りだった雨がやんで、空は七色の虹をかけた。



私にとって少しだけ特別な存在になった佐伯先生は、目が合うと先に気付いて手を振ってくれる。






…いつからだろう、私の方が先に気付くようになったのは。


恋に落ちた瞬間は分からないけど、でも…。


あの土砂降りの雨の日が、恋の始まった瞬間だった。


もう、きっと、今までみたいな関係には戻れない。


あんなことを言って、佐伯先生を避けてしまって、後悔しかなくて。


なんで、なんで、自分から離れてしまったんだろう。


佐伯先生から遠ざけられるのが一番怖かったのに、自分からそれをしてどうするんだろう。





「…馬鹿だなぁ」





私のことを好きじゃなくてもいいから、佐伯先生の近くにいたいのに。