佐伯先生の優しすぎる嘘





…いいなぁ、私だって、

あんな風に可愛く話しかけられたらいいのに。



可愛げがない、なんて、言われ慣れている言葉で。


親戚からも、桃果ちゃんは子供らしくて可愛いわねぇ、って言われて。

杏奈ちゃんはしっかりしてるわねぇ、って言われる。



それでいつだって甘やかされるのは桃果の方だった。


お揃いの服も、私だってピンクを着たかったのにピンクはいつだって桃果の色で、私は水色で。


最後のひとつのケーキも、桃果の物だった。



…桃果が嫌ってわけじゃないんだ。

むしろ大好き。

ふたりきりの姉妹だから、大切な妹だから、私も桃果を甘やかしちゃうわけだし。



だけど、たまに、桃果になりたいって思う。


桃果だったら、あの輪の中に入っていけるんだろう。


佐伯先生がジャージを貸してくれた時だって、図書室でふたりきりの時だって、もっとうまくやったんだろう。


私はいつだって、しっかりしているふりをして不器用だ。