「ありがとう、助かった!」
ニコッと笑う高坂先生に、作り笑いしか返せなかった。
…どんな、人なんだろう。
大人なんだなぁ。
美人なんだなぁ。
きっとすごく、素敵な人なんだろう。
今から急に20センチ身長が伸びたりしないかな。
今日寝て、明日起きたらスタイル抜群になってたりしないかな。
…しない、よね。
あーあ、こんなことを考えてるから私は子供なんだろう。
そんなこと分かってるけど、子供の我儘だけど、それでも佐伯先生が欲しいよ…。
………
「杏奈、大丈夫?」
「…え、夕羽!」
気づくといつの間にか目の前に夕羽がいて、やっと授業が終わっていたことに気付いた。
「杏奈が授業中ボーッとしてるの珍しいね、風邪?」
「ううん、大丈夫」
まあしいていうなら、恋の病?
なんて思ってみる。
「そういえばさ、あの先生って佐伯先生の後輩なんだねー」
「ね、びっくりだよね」
教室から出ようとして女の子に呼び止められている佐伯先生を見る。
今ならきっと、目は合わない。
「えー、先生可愛いー!」
きゃあきゃあ言われているのを見て、私も中に入りたくて。
でもそんなことできるようなキャラでもないし、勇気だってない。



