「お互いにすごく愛し合ってのに、詳しくは知らないけど、相手のことを想って別れたらしいの。
そういうのも素敵だと思わない?」
高坂先生は本当に思い出話をしているだけで、全然悪気があるわけではなくて。
仮にも授業中に生徒にそんな話をするのはどうなのかとは思うけど、これはこれでコミュニケーションなんだろう。
ただ、彼女の言葉は私の心に容赦なく刺さる。
好きなタイプは年上。
I love you を日本語訳するなら、
“幸せになってください”
相手を想って別れた、年上の彼女。
すべての線が一本につながって、その瞬間私の中で何かが崩れた。
ああ、そういうことなんですね。
私はたとえ生徒じゃなくたって、貴方の瞳には映ってないんですね。
だったらそうと、言ってくれたらいいのに。
そしたら、こんなに無駄な期待をして。
こんなに傷つくことだってなかったのに。
…なんて、ただの八つ当たりなのはわかってる。
泣くな、泣くな、泣くな、泣くな。
必死に涙をこらえて、唇を噛み締めた。
先生、先生。
もう、諦めなきゃいけませんか?
これ以上迷惑かけたら困りますか?
でも、これでも、
佐伯先生しか考えられない私は馬鹿ですか?



