カーブで、ぐらりと傾いた身体。
慌てて力を入れて倒れないようにすると、優しく抱き寄せられた肩。
「え、」
佐伯先生の肩に寄りかかって、身体を預けるような体制。
「寄りかかっていいよ」
「っ…ありがとう、ございます」
佐伯先生といると、甘やかされてばかりだ。
佐伯先生と一緒にいるときは、しっかり者の私じゃなくてもいいんだって思わせてくれる。
ゆらゆら揺れるバスで。
私の左側には大好きな人の温もりで。
私の小さな変化にも気付いてくれて。
私なんかのために焦ってくれて。
いつだってヒーローみたいに助けてくれる。
適当なように見えて、本当は誰よりも大人で、優しいこの人が、
大好きだな、と思った。