佐伯先生の優しすぎる嘘




「水島さんまで笑うなよー…
…あ、何か用だった?」



そこでやっと私が佐伯先生に会いに来た理由を思い出した。


なにも佐伯先生の寝顔が見たくて職員室まで来たわけではなくて。

…いや、もちろん見たいけど。



「日誌、出しに来ました」


そう言って日誌を渡す。




「おう、お疲れ」


受け取りながら笑う佐伯先生は、やっぱり、どうしたって。


…好きだなぁ。



この笑顔を、一瞬だけでも、独り占めできる関係になれたらいいのに。



叶わないことくらい分かってるけど、そう願わずにはいられなかった。