佐伯先生の優しすぎる嘘




「みんなの帰る時間までここで寝てて」



連れてこられたのは先生たちの休憩室みたいな部屋。

こんなところあったのか、と思いながらソファーに横になる。

先生たちは点呼に行っているのか、部屋には私と佐伯先生の2人だけだった。






「暑くない?」


「大丈夫、です…」



渡されたスポーツドリンクを飲むと、冷たくて気持ちいい。


どうしよう、ドキドキして寝られない…。




部屋の温度とか、毛布かける?とか、いろいろ気を使ってくれる。


…佐伯先生の、彼女は。


いつもこれくらい、優しくされてるんだろうか。


焦った表情で助けに来てくれたり。

心配そうに話しかけてくれたり。


優しく笑ってくれたり。



…いいなぁ。


ねえ、私、佐伯先生の彼女になれたらいいのに。


どうして私、佐伯先生の生徒なのかな。


佐伯先生が、先生じゃなければ良かったのに。


ああ、だけど、そうしたら、


私は佐伯先生を好きにならなかったかもしれないね。


佐伯先生だから、好きになった。



そんなことを考えていたら、いつの間にか意識が薄れていた。