佐伯先生の優しすぎる嘘




「迷惑じゃないから。
…他人より自分のことちゃんと考えろって言ったでしょ」




まあ、それが水島さんの良いところなのかもしれないけど、と続ける佐伯先生に、ますます涙が止まらなくなってしまう。



「あの、背中、重く…ない、ですか…」


「重い」


「っ、ご、ごめ…」


「嘘だよ」


…。


「っ、百合、ちゃん…」


「他の先生に任せたよ」



「す、好きに…なって、ない…?」



「なるわけないでしょ」



「よ、かった…」




熱で体が重い。


だけど心はふわふわしてる。



頭がクラクラするのは、風邪のせいだけではないような気がする。