佐伯先生の優しすぎる嘘





「怖いよー…」

「大丈夫だって!」



…あ、来た、脅かさなきゃ。


歩いてきたペアに気付いて、

ガサッと音を立てて茂みから立ち上がると。



「きゃあああああ」
「うわっ!」



…これは、楽しいかもしれない。

走って逃げていく2人を見て、ニヤリと笑う。



次のペアも、その次のペアも脅かして。

そんなことを繰り返していると、だんだんボーッとしてくる頭。


「先生…」




佐伯先生が、百合ちゃんに惚れちゃったりしないかな?

百合ちゃんが狙った男の子をゲットしなかったことはないから。

佐伯先生も、落ちちゃうんじゃないのかな。



「やだ…」



私が、代わってって言えばよかった。

…そんなこと、言えるはずはないんだけど。


でも、でも、これでもし佐伯先生が百合ちゃんを好きになっちゃったら?

べったりくっつく2人を思い出して、ズキンと胸が締め付けた。



佐伯先生にとって生徒が対象外なら、私は佐伯先生の恋愛対象になんか入れるわけがなくて。

だけど今だけは、佐伯先生が生徒に興味ありませんようにって願ってて。

百合ちゃんに惚れたりしませんようにって思ってて。

そんな私は矛盾してて。



だめ、頭がぐるぐるする…。