佐伯先生の優しすぎる嘘





「先生、百合怖いの嫌だから手繋いでもいい?」

「そういうのは同い年の男子にやりなよ」

「えー、百合、先生がいい!」


佐伯先生にべったりくっつく百合ちゃんを見て、痛む胸。


…いいなぁ、佐伯先生とペアなんて。


だけど、たとえ私が佐伯先生とペアになったところで、あんな可愛いことはできないんだろう。






「じゃあお化け役は先に行って!」


そう言われて、ちゃっかり用意されていた白いワンピースなどの小道具を持って森に入った。




私は白のワンピースに着替えて2人と別れる。



佐伯先生のジャージを脱がなきゃいけないのは残念だけど、森に入って汚してしまったら困るからよかったかもしれないな。




…にしても。



夜の森って、暗くて寒い。

風が吹くたびに揺れる木の音は、ほんの少しだけ怖いかもしれない。



「っくしゅ、」




寒い…。


渡された白のワンピースには袖がなくて、ただでさえ風邪気味の私には寒い。


風が吹くたびにぞくぞくと寒気がする。