佐伯先生の優しすぎる嘘




「くじひいてー!」


きゃあっと湧き上がる歓声。
みんな誰とペアになるかドキドキしてる。


「えー、お前とかよー!」
「こっちのセリフだわ!」

「やったー!西木くんとだ!」



キャーキャー言う声はすごく楽しそう。



「待って、3人お化け役にしちゃったから百合1人なんだけど!」


狙った男子は百発百中、と噂の可愛い子、百合ちゃんが叫ぶ。




「え、まじ?」
「どうする?」



「じゃあさ、佐伯先生と組みたい!
いいよね先生!?」



「えー…面倒くさい…」


「百合1人で肝試しなんか無理だもん!」


「わかったよ…」



え…。


渋々だけど頷いた佐伯先生。



そういえば、百合ちゃんはいつも佐伯先生かっこいい!って騒いでいたっけ。


そんなことを思い出して、急に苦しくなる胸。



「杏奈…」


心配そうに私の顔を覗き込む夕羽に、大丈夫だよ!と笑う。



これくらいで、ヘコんじゃいけないよね!