佐伯先生の優しすぎる嘘




「じゃあ、そろそろ暗くなってきたので…肝試しやりまーす!」



「「「いぇーい!!」」」




クラスのムードメーカーの男の子の声に、みんなの歓声が上がる。


「その前に、お化け役を決めたいんだけど3人くらいやってくれる人いない?」



みんな、好きな人とペアになりたかったり、肝試しはやっぱり回るほうが楽しいから「えー」と嫌がっている。


それにお化け役は1人で暗いところで待ってなくちゃいけないから、怖いもんなぁ…。





「じゃあ私やるよ!」




なんて言うか、こういう時はつい手を上げてしまうっていうか。

正直暗闇もそんなに怖くないし、

好きな人は肝試しに出るつもりはなさそうだし…。

佐伯先生とペアになれる可能性もなさそうだからいいよね!




「おお!ありがとう水島!」
「杏奈優しいー!」



「え、杏奈がお化けやるなら私もやる!」

「じゃあ俺も!」



夕羽と、田中くんが手を上げてくれて、3人のお化け役は決まった。




「よーし、脅かすぞ!」
「ちょっとわくわくしてきた!」


3人でどうやって脅かすかの作戦会議をしていると。