ふわり、後ろから包まれた大好きな体温。 久しぶりの、佐伯先生の匂い。 ドクンと心臓が跳ねて、それから胸の奥がふわふわして。 「…俺、遠距離でもいいんだけど」 「え…」 「杏奈と離れたくない」 掠れた声で言った佐伯先生の右手は、左腕にある腕時計を触っていなくて。 杏奈、って呼ぶその表情からは、確かに好きが伝わってきて。 「うぅー…」 その瞬間、声をあげて、泣いてしまった。