「座る?」
佐伯先生に促されて、フェンスに寄りかかって座る。
手を伸ばせば届く距離にいるのに、私には触れられる理由がない。
至近距離に感じる佐伯先生の体温に、苦しいくらいに緊張して、切なくて。
「…ごめんね、俺
水島さんに嘘ばっかりついた」
前を見たまま沈黙を破ったのは、佐伯先生。
「…好きなタイプが年上だって言ったのも、
水島さんのこと好きじゃなくなったって言ったのも、全部。
…まあ、気付いてたかもしれないけど」
そう言って笑う佐伯先生に、笑い返すことができない。
私は笑って話せるほど、佐伯先生を“過去”にできていない。



