佐伯先生の優しすぎる嘘






ガチャン





重いドアを開けると、少し軋んだ音がする。



…あれ、そういえば、屋上って鍵空いてるんだっけ?


立ち入り禁止じゃなかったっけ?



不思議に思いながら足を踏み出すと、そこには1年前と同じ景色。





青い空。


春の風。


白い雲。





そして、寄りかかっていたフェンスから身体を離して振り返る佐伯先生。








「…来るかな、と思った」






眉を下げて、優しく、少し切なそうに笑う佐伯先生に胸が締め付けた。





佐伯先生を見た瞬間、卒業の実感が湧いてきて。


どうしようもなく目の前の人が愛しくて。


熱くなる目の奥に、必死に涙をこらえた。