佐伯先生の優しすぎる嘘





「…」





ドアを開けるのを、躊躇う。






…卒業、したら。



佐伯先生とは何の関係も無くなってしまう。



当たり前のように学校で会える、先生と生徒という関係すらなくなってしまう。



会える理由も、なくなったら。




佐伯先生は私を忘れてしまいますか?





きっと佐伯先生の中ではわたしのことは終わっているんだろう。


もう思い出になっているんだろう。



私はまだ、そんなことできるほど大人じゃなくてー…。





屋上に来たからって、最後の場所に来たからって、終わらせられるものなんだろうか。