佐伯先生の優しすぎる嘘




佐伯先生の綺麗な手が、スプーンですくったニンジンをやっぱり綺麗なその口に運ぶ。


そのニンジン、私が切ったんですよ。

佐伯先生の口に含まれたそれを見て、ああ、ニンジンになりたい…なんて思ってしまった私は相当な重症だと思う。




「「「ごちそうさま!」」」



大成功、ってくらい美味しくできたカレー。

みんなでお皿を洗ったら、自由行動だ。



「川行こうよ!」


咲ちゃんの声に、6人で川に向かう。

佐伯先生も来てよ、って言ったら、他の班見てからな、って言ってくれた。




少し歩くと、見えてきた川。

さらさらと流れる水は、思っていたよりずっと綺麗だ。



「魚いる!!」

「すごい、冷たい!」




足先だけ川に浸かってパシャパシャと遊ぶみんなに、我慢できなくて私も川に入る。



「わ、冷たい…!」



ひやっとした水が気持ちいい。


少し熱っぽかった私の身体には冷たい水が心地よくて。


でもきっと風邪の時に川なんか良くないよね…って思っても、何だか頭がぼーっとして考えられなかった。