佐伯先生の優しすぎる嘘






**------------------------------------------**






「桃果、ご飯何がいい?」




あれからすぐに春休みに入って、佐伯先生とは顔を合わせていない。



親が仕事でいないのでご飯を作ろうと、桃果にリクエストを聞いてみたんだけど…。





「私が作るからいいよ!」




「…え?」




今まで桃果の口から聞いたこともない言葉に、思わず聞き返した。





「お姉ちゃんは休んでて!」


「え、どうしたの?何かあった?」




割との本気で心配になって聞くと、思いもよらない答えが返ってきた。






「佐伯先生にね、お姉ちゃんにばっかり頼りすぎるなよって言われたの。

たまには桃果から助けてやれって」




「っ…」




「ごめんね…お姉ちゃんが優しくて、何でも出来るから甘えちゃってた。

これからはお姉ちゃんのこと助けてあげるからね!」




へへ、と照れ臭そうに笑う桃果に、私も笑った。




「よーし、たらこパスタ作るぞ!」





早速パスタを出してきて、いきなりフライパンに麺を入れた桃果。




「…え!?ちょ、待って!」




慌ててフライパンからパスタを救出して、火を止める。