佐伯先生の優しすぎる嘘





「着いた」




車がゆっくり止まったのは、小さな丘の上。

何もない丘の上から見える、真っ黒な中に無数の光。


キラキラ輝くそれは宝箱みたいで。


綺麗ー…。





「蒼…っ」




その声の方に目を向けると、寒そうに息を白く染める、綺麗な女の人。





「詩織…何で…」





泣きそうな表情の詩織さんはいつからそこにいたのか、よく見たらすこし遠くの方に車が一台停まっていた。



凍える姿からして、かなり前から待っていたんだろう。




でも、どうしてここにー…。





「ここで待ってたら…蒼が来るかもしれないと思って…」





今にも泣いてしまいそうな詩織さんに、胸がきゅっと締め付けた。




「…俺、会えないって言わなかった?」



「ごめんね…でも、どうしても伝えたいことがあって…」






佐伯先生に駆け寄る詩織さんを、見ていることしかできなかった。