佐伯先生の優しすぎる嘘




「詩織が飯とか作ってくれてるうちに気付いたら寝てて、詩織も心配して朝までいてくれたらしい」



「…そっ、か」



「一緒に寝たりとかはしてないし、何もないけど…ごめん」




「大丈夫、です」



ダメだよ、ここで泣いたら。

重いって、子どもだって思われる。

それが怖くて、必死で涙をこらえた。







「…いつ、出かけますか?」


「え?」


「今度出かけようって、いつ出かけますか…?」





何だか、このままじゃ佐伯先生が離れていってしまう気がして。


嫌だよ、詩織さんのこと好きにならないで。


私の“彼女”って特権なんて、詩織さんの前では太刀打ちできなくて。



「14日がいいな」



2月14日…。




「チョコレート食べられますよね?」


わざわざその日にデートなんてなんだか可愛くて、クスっと笑ってしまった。



「甘いの好きだよ」



「楽しみにしててください」


「ありがとう」




やっぱり私、この人が大好きだ。

佐伯先生の全部が私のツボで。

佐伯先生そのものが私の理想で。




私の肩にもたれかかっている佐伯先生の頭を、そっと撫でてみた。