佐伯先生の優しすぎる嘘





「あっ、佐伯先生!」

「大丈夫ですか!?」

「佐伯先生ー!」




次の日、いつも通り教室に入ってきた佐伯先生に、わっとみんなが声をかける。


大丈夫なのかな、昨日の今日で仕事なんて…。

ちゃんと昨日、休めたのかな…。



と、佐伯先生がこっちに目を向けたことで交差した視線。

優しく笑った佐伯先生に、少しだけホッとする。



「そうだ、水島さん。
後でプリント取りに進路指導室に来て」



「え…はい!」




何だろうと思いつつも、朝のホームルームが終わってすぐに進路指導室に向かった。





ガラッ




「失礼します」





進路指導室に入ると、佐伯先生が椅子に座って待っていた。




「鍵閉めてここ座って」

「え…」


言われるがままにドアの鍵をして、隣の椅子に座る。




トン、と私の肩に頭を乗せて寄りかかる佐伯先生は、そのまま目を閉じた。



「まだ眠いんですか?」


「…」



何も答えない佐伯先生は、少し目を開けて、何か考えているみたいだった。


サラサラの髪が、首筋に当たってくすぐったい。





「…ごめん、昨日家に泊めた」


「え…?」



「詩織のこと」





ドクン、と心臓が跳ねる。


詩織さん、泊めたんだ。

ってことは今日の朝まで詩織さんといたの?


そんな嫌な気持ちがどんどん心を支配していく。