「…あの、ありがとうございます」
「気にしないで、あんなフラフラの蒼に運転されたら事故起こしそうで怖いもん」
あはは、と笑いながら言う詩織さんは、どうして私を送ってくれるんだろう。
「あの、何も言わないんですか…?」
佐伯先生と付き合っていた事に関して。
詩織さんに黙っていた事とか、先生と生徒で付き合ってる事とか。
覚悟していたことを何も言われないことが不思議で。
「言いたいことはたくさんあるって言ったじゃない。
認めたわけじゃないよ。
高校生なんて子供より、私の方が蒼を幸せにできる自信はあるから」
ハッキリとそう言えるのはすごく羨ましくて。
私がぐらぐら迷って、揺れていたこと。
佐伯先生を幸せにできるのは、本当に私なのかな。
詩織さんに何も返事ができないまま、
「…あ、次の角を右に曲がったところです」
いつの間にか到着した私の家。



