慌てて電話に出ると、私が出たことに少しホッとしたようなお母さんの声。
『どこにいるの?』
「えっと…友達の家…」
とっさに嘘をついてしまったことに罪悪感はあるけど、佐伯先生の家だなんて言えない。
『早く帰って来なさい』
でも…。
佐伯先生が心配だ。
1人になったらまた仕事を始めたりしないかな。
また無理したりしないかな。
明日の朝ご飯とかは大丈夫なのかな。
ふわふわしていて掴めなくて。
そんな佐伯先生だけど、のんびりしているようで誰よりも努力している。
部屋に積まれた、ボロボロになるまで読み込んだ参考書たちがそれを物語っていて。
単に格好良いからってみんなが授業をちゃんと聞くわけじゃない。
誰よりも生徒のために頑張ってるから、みんなもそれについて行ける。
そんな佐伯先生だから、愛されるんだって。



