佐伯先生の優しすぎる嘘





「…よし、できた」





1時間くらい経って完成したクリームシチュー。


佐伯先生を起こそうと寝室に入ると、無防備な寝顔に思わずドキッとしてしまった。



ぐっすり眠る佐伯先生に、起こすに起こせなくてその寝顔を見つめる。


眼鏡をしていない佐伯先生は、何だかいつもより近くに感じて。




「まつげ長い…」



悔しいくらいに整った顔。

ベッドの横の棚に置かれた眼鏡を、なんとなく手に取った。




…佐伯先生が見ている景色は、どんな景色なんだろう。


ゆっくり眼鏡をかけてみると、思ったよりも度が強くて目の前がクラっとした。




「わ…」




ぼやけてよく見えない視界。

すぐに眼鏡を元に戻して、また佐伯先生に視線を向ける。





「…ごめんなさい」





サラ、と佐伯先生の髪を触りながら呟く。


寝不足も疲れも、きっと原因のひとつは私だと思う。


…佐伯先生がここまでしてくれてるんだから、しっかり進路も考えなくちゃいけないなぁ…。