佐伯先生の優しすぎる嘘





そんな日の午後だった。





「えー、今日の6限目は自習です」





現代文の授業のはずだった6限目に来たのは佐伯先生ではなく、副担任の先生。


ザワッとする教室に、嫌な予感がした。





「佐伯先生が先ほど倒れられたので、現代文の授業がなくなりました」




「え!?」
「大丈夫なの?!」
「佐伯先生…!」



うるさくなる教室に、思考が働かなくなる頭。



「嘘…」



倒れたって、何でー…。



「静かに!

疲れがたまっていてしばらく休むかもしれないけど、病気とかではないから心配するな。

課題のプリントを配るから今日中に提出しなさい」



教室がザワザワしたまま配られたプリントにも、全然集中できない。


佐伯先生が倒れた…。



今すぐにでもお見舞いに行きたい。


でも…。




「佐伯先生、大丈夫なんですか?!」



自分でも思った以上に大きな声が出て驚く。



「大丈夫だから安心しなさい」




…やっぱり、疲れてるんじゃないですか。


どうして言ってくれないんだろう。

いや、言われたところでどうにか出来たわけじゃないけど…。


佐伯先生がまとめてくれた大学案内のプリントを、ぎゅっと握った。