佐伯先生の優しすぎる嘘







「…うん、ごめんね」



何で、謝るんですか…?

佐伯先生と離れたくない。

離れたら終わってしまう気がした。





私の涙が止まるまで、黙って待っていてくれる。

そんな佐伯先生が、どう考えても大好きで。



だから、このままじゃいけない。


いつまでも佐伯先生の近くにいたいとか、やりたいことが見つからないとか、甘えてばかりじゃダメだ。


大人になりたいなら、しっかり考えなきゃ。


このままじゃいつまでも子供のままだ…。






「…佐伯先生は、何で教師になろうと思ったんですか?」



ふと思って聞いてみる。



「ありきたりな理由だけど、高校生って1番悩む時期でしょ。

小さなことにもすぐ不安になって、進路っていう大きな選択もしなくちゃいけなくて。


だけど1番楽しいと思うんだよね。

少しでもその不安を軽くしてあげたくて…かな」



少し照れくさそうに話す佐伯先生。


悩む時期、か…。




「まあ…俺も将来の夢を決めたのは大学生になってからだし、水島さんもいつか見つかるよ」



素敵な人だと思う。

私にはもったいないくらい。



生徒のことをいつだって1番に考えてくれて。

休み時間にも参考書を読んだりプリントを作ったり、頑張っているのも知ってる。


そんな佐伯先生の負担を増やしているのは、私なんじゃないかな。