「笑うなよ、腹減ってんの!」




少しムキになる佐伯先生が可愛い。



「佐伯先生、ありがとうございました」



改めてお礼を言ったのに、



「クリームパンはやっぱり美味いよな」



なんて的外れな返事をする佐伯先生は、意外と照れ屋なのかもしれない。




「佐伯先生、疲れてないですか?」



「疲れてないよ」



腕時計の向きを直しながら答える佐伯先生は、やっぱり疲れてるような気がする。

新学期は、佐伯先生も何かと大変なんだろうな…。




「何か手伝うことないですか?」


「お前は人のことばっかり心配してないで自分のこと考えなさい」



急に教師みたいになって、いや、教師なんだけど。

そんな佐伯先生は私の自分のことを後回しにする性格をちゃんと知ってて。


やっぱり大人だな、って思った。



…先生、好き。





窓から見える桜はこの前よりもずっとピンク色に色付いて。

ふわり、ふわりと風に舞って、ゆっくりと地面に落ちた。