佐伯先生の優しすぎる嘘





「うーん…」




放課後、大学案内のパンフレットや本がたくさんある進路指導室で途方に暮れる。



最近ずっと進路について悩んでいるけど、まだ何も決断できない。



周りはどんどん志望校を決めてるのに、焦るなぁ…。




はぁ、とため息をつくとガラッと開いたドア。



「思いつめすぎ」




そう笑いながら入ってきたのは佐伯先生。




「佐伯先生…」



「これからDVDでも借りてうちで見ない?」



「え?」




佐伯先生は手に持っていた缶コーヒーをひとくち飲んでから、私の見ていたパンフレットを閉じた。




「そんなに思い詰めたところで焦るだけだよ。


気分転換した方が良い」




でもなぁ…。

それでも渋る私に、



「俺がこの時間に帰れるなんてレアだよ」




なんて言う佐伯先生はずるい。


本心を言うと悩んでいることも全部忘れて気分転換をしたかった自分がいて。



結局、佐伯先生の車に乗ってしまった。