どうしよう、私が佐伯先生のパン食べちゃったからだ。

佐伯先生、やっぱり自分のお昼ご飯全部私にくれたんだ…。



申し訳なさすぎて、泣きそうになりながら佐伯先生を見つめる。

ごめんなさい、もう、本当に迷惑ばっかりかけてる気がする。




パッと目が合った瞬間、佐伯先生は悪戯っぽく笑って、



『バーカ』



って口を動かした。


きっと私しか気づいていなくて。

それは秘密の合図みたいで。


きゅうっ、と胸が締め付けられた。



私が気にしないように気を使ってくれるなんて、優しすぎるし。

子供みたいなその笑顔は、可愛すぎるし。



心がふわりと、ピンク色に染まった。