そのまま返信もせずに携帯をポケットに入れた佐伯先生に、思わず「え…」と言ってしまった。
「あー…、気になる?」
「いや、返信しないのかなって…
私に気遣ってるなら、気にしないでください!」
他の女の人と連絡を取ってるのはもちろん気になるけど、そこまで重い彼女になんかなりたくない。
ちゃんと余裕のある大人になりたいし、佐伯先生のことを疑ったりしたくない。
「元カノ…なんだけど、会わないから安心して」
「えっ」
元カノ…。
想像しなかったわけじゃないけど、いざ言われると少し不安になる。
でも、佐伯先生が会わないって言ってるんだから大丈夫だよね、信じよう。
しかも今日はクリスマスなんだから、こんな気持ちで過ごしたらもったいないよね!
「そろそろ行きますか?」
「え?」
「イルミネーション!」
7時を表示する時計を指さすと、
「あ、うーん、どこかでご飯食べようかと思ってたけど…」
少し考えてからキッチンに行った佐伯先生。
「せっかく家にいるしすき焼きでもする?」



