弧を描いてから、焦らすようにゆっくり触れた唇はだんだん角度を変えて、私の思考を止める。
甘すぎるそれにクラクラして、きゅっと佐伯先生のシャツを掴んだ。
だんだん倒される身体には力が入らなくなっていて。
いつの間にか倒れた私の上には佐伯先生がいた。
上から覆いかぶさる佐伯先生の身体に、どんどん熱が上がる。
「っ、せ…ん、せ」
息が苦しくなったところでやっと解放された唇で思いっきり息を吸い込む。
「はっ…はぁ、っ」
「可愛い」
フッと笑った佐伯先生は、パッと起き上がって離して私を解放した。
「い、意地悪…」
力の入らない身体を無理やり起こして、飲み終わったマグカップを片付けに行く佐伯先生の背中を睨む。
こんなの、ドキドキしないわけないし。
今までで一番甘いキスに、どうして良いか分からなかった。
ずるい、ずるい、ずるい。
佐伯先生は余裕で、いっぱいいっぱいなのは私だけで。
佐伯先生はどうせ、ドキドキもしてないんだろう。
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「っ、…危ね…止められないとこだった…」
マグカップを持っていったキッチンで、頬の赤い佐伯先生がそんなことを呟いていたなんて、私は知らなかった。



