佐伯先生の優しすぎる嘘





「飲み物持ってくるから座ってて」





そう言って指されたソファーにちょこんと座り、部屋を見回す。


黒という格好良い色でまとまった部屋の中に、たまにカラフルな時計とかが置いてあったりして、それが佐伯先生らしくて可愛い。




「お待たせ」




コトンとテーブルに置かれたマグカップには、湯気の出ているホットココア。



「ありがとうございます!」



ふー、と冷まして一口飲むと、甘い味が広がった。



…ていうか、思いつきで佐伯先生の家に行きたいとか言っちゃったけど。

冷静に考えたらすごく緊張する…。



だって今はふたりきりなわけで。

ここは佐伯先生の家なわけで。



でも、佐伯先生は特に緊張するようでもなくていつも通りだ。




「ごめんね、特に何も面白い物ないでしょ」




佐伯先生は、私の隣に座る。

佐伯先生の座った左側に、少し沈むソファー。

軽く触れる腕に、いつになくドキドキして…。




「今日いつもと雰囲気違うね」



「え、」




気付いてくれた!

そう、今日は夕羽に背中を押されてずっと着てみたかった可愛い系の服に甘メイクだ。


佐伯先生に子供っぽいと思われたくなくてできなかったけど、勇気を出して頑張ってみた。





「そういうのも似合うと思うよ」



「あ、ありがとうございます…っ」




佐伯先生に言われるのが何よりも嬉しくて、へへ、と笑った。