佐伯先生の優しすぎる嘘





「…あ、これいいかも…」




時計を探していたときに見つけたのは、少し可愛い感じの赤いネクタイ。


こういうの、あんまり着けないかなぁ、と思ったけど。





「いいと思う!いつもと違う感じだから、嬉しいんじゃない?」



「そうかな!?」





値段は8000円。

…うん、思い切って買っちゃおうかな!


たまにはこういうネクタイの佐伯先生も見てみたい。








「夕羽、ありがとう!」


「私もプレゼント買えたしありがと!」




結局夕方まで2人で喋って、駅で別れた。





「クリスマスデートかぁ…」




そう思うだけで自然と頬が緩んでしまう。




「っ、わ」



そんな上の空で歩いていたからか、角を曲がった瞬間誰かに衝突してしまった。




「大丈夫ですか!?」



慌てた声に顔を上げると、すごく美人で、だけど雰囲気は優しくて可愛い女の人がいた。




「ご、ごめんなさい!」




慌てて謝ると、


「怪我なさそうね、良かった」


なんて笑ってくれる。



歩いていく彼女の後ろ姿を見ながら、こういう大人な女の人になりたいなぁ、なんて思っていた。