佐伯先生の優しすぎる嘘






「お待たせー!」




日曜日。

駅前で待っている夕羽に駆け寄る。





「待ってないよ!」



ビルの中に入って、ブラブラとお店に入る。


「どんな服にしよう…」


「杏奈これとか似合いそう!」




そう言って見せられたのは、肩のところにリボンが編み込まれた白のニット。




「可愛い!」



私の大好きな感じのデザインで、一気に目を奪われる。


…けど。




「もっと大人っぽいやつにしないと子供って思われないかな…?」




いつも気にしているのはそこで。

メイクだって本当はピンク系にしてみたいけど、子供っぽいって思われたくないし…。



まあそもそも、ピンクって柄でもないんだけどさ。




「杏奈の好きな格好したほうが先生も喜ぶ気がするけどなぁ…」


「え…」



「杏奈だって佐伯先生には先生の好きな服着てほしくない?

佐伯先生ってこういう服好きなんだなぁって思いたくない?」




「思いたい…」



でしょ、と笑う夕羽に背中を押されて、白のニットとワインレッドのスカートを買った。