佐伯先生からもらったパンは、もったいなくてなかなか食べられなかったけど。
でもせっかく自分のお昼をくれたんだから、食べなきゃいけないと思って迷った末に食べてしまった。
本当は、家に飾りたいくらいだったけど。
…うん、さすがにやめておいたよ。
それは購買のパンってこんなに美味しかったんだってくらいに美味しくて。
でも、明らかにいつもより美味しく感じる理由もわかってて。
佐伯先生はお昼大丈夫だったのかな。
何か食べられたかな。
「杏奈、ニヤニヤしすぎ」
夕羽に注意されても、私の頬の緩みはおさまらなかった。



