キーンコーンカーンコーン…
鳴ったチャイムで席に着くと、少ししてからドアが開いて佐伯先生が入ってくる。
「はーい、席ついて」
ワインレッドのセーターを着た佐伯先生がなんだか可愛くて、緩みそうな頬を頑張って堪える。
「テスト返すよー」
そう言って回答用紙の束を持つ先生に、皆がザワザワする。
「合田さん、浅井くん、飯田くん…」
どんどん返されるテスト用紙。
「水島さん」
テスト用紙を受け取ると、96点。
頑張ったね、なんて言ってくれる佐伯先生にニッと笑った。
「…あれ?」
用紙の左上にクリップで留められている小さなメモ用紙に気付く。
『24日空けといて』
右上がりの綺麗な字で書かれたたった8文字の言葉に、泣きそうになるくらい嬉しくなった。
佐伯先生の方を見ると、ふっと優しく笑ってくれて。
佐伯先生も同じこと考えてくれたのかなって思って。
クリスマスイブに2人で過ごせるんだって思って。
このメモ、宝物にしよう、なんて思った。