佐伯先生の優しすぎる嘘





会いたいって、思ってたから。

会えたのがすごく嬉しくて。




「水島さんって徒歩通学だよね?」


「え、はい」



「もう暗いし、車で送るよ」




飲み終わった缶コーヒーの缶をゴミ箱に捨てて、歩き出した佐伯先生。




「えっ…悪いですよ!」


「俺ももう帰るし、ついでだから」



佐伯先生だってこんな時間まで仕事してたのに、迷惑かけたくない、って気持ちと。


あんな言葉を聞いてしまったから、もう少し一緒にいたいって気持ち。





「…ありがとうございます…」



勝ったのは後者。

佐伯先生は振り返って優しく笑った。


佐伯先生の後について駐車場に向かう。




黒くて綺麗なその車は、何ていうか佐伯先生らしかった。