佐伯先生の優しすぎる嘘





「杏奈ちゃん!」




教室には入れないし、生徒会室に戻るのもなぁ、と思いながらろうかを歩いていると、後ろから呼ばれた名前。



「真奈ちゃん…」



「あの…ごめんね、仕事遅くて」


「い、いや、気にしないで!」




こっちこそ聞いちゃってごめんなさい!

心の中で平謝りしながら、真奈ちゃんが渡してくれたプリントを受け取る。



「じゃあ、私出しとくね」


「ありがと…」




俯く真奈ちゃんはどう見たって落ち込んでいて。


どうしていいかわからなくて、とりあえず生徒会室にプリントを出しに行った。






「…よし、帰ろう」




自分の分の用紙を提出して、これでこの仕事はひと段落ついた。



ホッとしながらバッグを持って昇降口に向かう。


日が短くなったからか外はもう真っ暗。

部活も終わったようで、校舎内には人気が全然ない。


そんなに長く学校にいたのか…。



そんなことを思いながら靴を履き替えると、入り口に寄りかかる人影。





「え…」



「…ん、お疲れ」





缶コーヒーを飲む佐伯先生だった。