佐伯先生の優しすぎる嘘





「私、教室戻るね」




荷物をまとめて席を立つ私に、全部分かったみたいに



「頑張れ」


って言ってくれる夕羽が、本当に大好きだと思った。




よし、頑張ろう、なんて思ったけど。




「…」



廊下を歩くにつれてまた消えていく自信。








「私、佐伯先生のこと好きなんです…」




教室の中から聞こえた声に、ぴたりと足を止めた。




「最初は憧れだったんですけど、毎日手伝ってくれて、それで…


佐伯先生と少しでも長く一緒にいたくて、わざとゆっくり作業したりして…


毎日手伝ってくれるなんて、私のこと悪く思ってはないですよね!?」






…何で、今帰って来ちゃったんだろう。


最悪のタイミングで。


聞きたくない、って思ってるのに、足が動かなくて。



佐伯先生の言葉を、聞きたくない。


そうだね、なんて言われたら泣いちゃいそうで。


私だって、佐伯先生が必要なの。

佐伯先生じゃなきゃ嫌なの。


いつもいつもしっかりしなきゃって思ってるけど、佐伯先生の前でだけ甘えられたの。


そうさせてくれたのは佐伯先生なの。


佐伯先生は私にたくさんの幸せをくれて。


佐伯先生を幸せにするのは私がいいの…!



だから、だからー…。