佐伯先生の優しすぎる嘘





「失礼します…」




ガラ、と生徒会室のドアを開ける。




「あれ、杏奈ちゃん」


「あ、久しぶり!」




去年同じクラスだった友達に会って、生徒会室を使わせてもらえることになった。



「さっきまで夕羽ちゃんもいたんだけど…あ、帰ってきた」


「あれっ、杏奈?」



ドアを開けて入ってきた夕羽は、デートまでの時間つぶしに生徒会室に遊びに来ていたらしい。




「お菓子食べる?」

「あは、ありがとう」



3人でチョコを食べながら作業をするけど、どうしたって教室の2人が気になってしまって。






「…どうしたの?」

「え、何が?」


「杏奈ちゃん、さっきからため息ついてる」


「え…」




無意識のうちに、そんなにため息ついてたのか…。




「…自信って、どうやったら持てるのかな」



夕羽はさっきから黙って聞いてくれている。

チョコの包みをもうひとつ開けて口に入れると、甘くて苦いその味が広がった。






「杏奈ちゃんは、自信あると思ってたよ」

「…ない、よ」



「だって可愛いし、頭いいし、性格も運動神経もいいし、逆にどこに自信がないの?」



「そ、そんな褒めないでよ、照れる…」


「あはは、可愛い」




…どこにって、そんなの。




「…可愛く、ないよ」


「えー?」


「守ってあげたいとか、放っておけないとか、そういう子の方が可愛いじゃん…。

私、全然そんなタイプじゃないし。

たぶん1人でも生きていけると思われてそうだし。

…可愛げがないっていうか」