佐伯先生の優しすぎる嘘




「あ…」




やっと書き終わったと思ったバレーボールの試合時間が、確かめてみたらサッカーと被ってしまうクラスがある。




「嘘でしょ…」




やり直しだ…。

泣きたい…。



早く帰ってテスト勉強もしなきゃいけないのに…。


とは言っても、自分のミスだ。


消しゴムでAブロックの部分を消して、もう一度組み直す。





ートン




机の上に置かれたココアの缶に、ハッとして顔を上げる。

集中していたからか、佐伯先生が教室に入って来たのに気付かなかった。





「俺がやって出しとこうか?」



優しい声でそう言う佐伯先生に、何でだか分からないけど泣きそうになった。







「…やらなくていいから…そこにいてほしい、です…」






だんだん小さくなる語尾と、驚いた表情の佐伯先生。


驚いてから、ふっと笑って。




「了解」


なんて言う佐伯先生に、さっきまでのモヤモヤが嘘みたいに晴れて。


早く帰りたいって気持ちが、ずっとここにいたい、に変わった。