佐伯先生の優しすぎる嘘





「購買、もう売り切れてると思うよ」



「えっ!?」




嘘でしょ、売り切れ!?



そういえば。

普段購買でご飯を買うことがないから忘れていたけど、うちの学校の購買は、チャイムが鳴ってすぐに走らないと売り切れてしまうほどの人気だ。



「えー…」



…どうしよう。

桃果から半分分けてもらおうかな?

それか、お昼抜きにするかな…。




「はい」



いろいろ考えていると、目の前に差し出されたパンの袋。

佐伯先生が渡してくれたのは、クリームパンとメロンパン。



「甘いの好き?」


「え…」


「あげる」


「で、でもこれ佐伯先生のお昼なんじゃ…」



佐伯先生から貰えるなんてすごくすごく嬉しいけど、そんなことできない!

慌てて返そうとすると、悪戯っぽく笑った佐伯先生は、




「クラス委員長が授業中にお腹鳴らしてたら恥ずかしいでしょ」


なんて言う。


「な、鳴らないよ!」


「ははっ」