佐伯先生の優しすぎる嘘





私とは少し離れた席で作業をする2人に少し胸が痛んだから、何も考えないように用紙を記入する。





「水島さん、これで大丈夫?」





佐伯先生が持って来てくれたのは、佐伯先生と真奈ちゃんが2人で書いたトーナメント表で。


佐伯先生が手伝ってくれたことで、かなり早く終わった。





「大丈夫です、ありがとうございます」





よし、私も頑張ろう。



「真奈ちゃんお疲れ様!
私、生徒会室に出しておくから帰っていいよ」



「ありがとう!
佐伯先生も戻りますよね?」



「水島さんは手伝うことある?」




なんだか急に仲良くなったような2人にモヤモヤして、




「大丈夫です」


なんて言ってしまってから、素っ気なかったな、と反省する。




「じゃあ、頑張って」





真奈ちゃんと一緒に教室を出て行ってしまう佐伯先生の背中に、寂しくなって。


待ってって、2人きりなら言えたのに。

ここが学校じゃなかったら言えたのに。




…言えたかな?



2人きりで、ここが学校じゃなくても、言えなかったかもしれない。




何でこんなに可愛くないんだろう。


大丈夫です、じゃなくて、もっと甘え上手なことが言えないんだろう。


私だって、佐伯先生に手伝って欲しかった。


ううん、手伝ってくれなくてもいいから一緒にいたかった。



どんどん我儘になる自分が嫌だ…。