ー♪〜♪〜♪〜♪
突然パッと画面が明るくなり、着信を知らせたスマホに驚いて手を伸ばす。
「っ…!」
【着信:佐伯蒼】
予想外のその文字に、慌てて電話に出た。
「は、はいっ…」
『久しぶり』
耳元で、聞こえた佐伯先生の声は、電話越しのせいかいつもより少し低いように感じた。
今、佐伯先生の声を独り占めしてて。
佐伯先生の声を誰よりも近くで聞いてる。
そう思っただけで、胸がふわふわして幸せになる。
「…あ、何かありましたか?」
『…いや、特に用はないけど』
そう言って少し黙ってしまった佐伯先生。
え、私何かしたかな…。
怒ってる?
声だけだと、表情が見えなくてもどかしい。
『…何で、電話してこないの?』
しばらくしてから、少し拗ねたような口調で。
「へ…」
『番号、交換してすぐ電話してくると思ったのに…来ないから』
自分からかけちゃったじゃん、と小さく続ける。
「っ、」
何それ、可愛い…!
キュン、とした胸。
大人のくせに、いつも余裕のくせに。
何でこんなに可愛いこと言うんだろう。
今、どんな表情してるんですか?
拗ねているであろう顔が見たい。



