佐伯先生の優しすぎる嘘







「っ、何でどこにもいないのー…」





結構歩いたはずなのに、夕羽たちに会うどころか完全に迷子になってしまった。


夕羽たちがどこにいるかが分からないから、人に道聞くこともできないし…。




どうしたらいいんだろう…。

やっぱり、一緒についてきて貰えば良かったかな?


買ったネックレスの袋をぎゅっと握った。





ドンッ、と反対側から来た人にぶつかってしまう。




「ご、ごめんなさいっ…」



だめだ、ボーッと立ってたら邪魔だ…。

けど、どこに行けばいいんだろう…?


夕羽に、心配かけてるかもしれない。

スマホの充電さえできればなぁ…。



…ああ、もう嫌だ、佐伯先生に会いたい。



そんなことを思った瞬間だった。








「っ、水島さん!」






聞き慣れた声に、驚いて振り返る。




「さ、えき先生っ…!」



息を切らした佐伯先生がいた。

その大好きな姿を見た瞬間、すごく安心した自分に、思っていたより迷子が怖かったんだな、と思い知らされた。






「何かあった!?」





真剣な顔で聞く佐伯先生は、すごくすごく心配してくれてたみたいで。




「ごめんなさい…道、わかんなくて…。

スマホの充電も、切れてて…」





申し訳なくて下を向くと、グイッと勢いよく抱き寄せられた。

ぽすん、と佐伯先生の胸に包まれる。







「…馬鹿、心配した」





「ごめん…なさい…」




「何かあったかと思って焦った…」




「ごめんなさいっ…」





「…良かった、無事で」



「っ…ありがと、ございます…」




ぎゅっと、思いっきり抱きしめられた腕の中で、安心して、申し訳なくて、泣きそうになった。