佐伯先生の優しすぎる嘘





「座りなよ」




そう言われて、佐伯先生の隣に座る。



「っ、」



濡れた私の肌が佐伯先生の腕に触れると、服を着ている時とは全然違う密着感に耳まで熱くなる。


どうしよう、こんなの…。

…ドキドキ、する。


うるさいくらいにドキドキする鼓動が、触れてる場所から伝わってしまうんじゃないかってくらいに。


熱くて、だけど、離れたくなくて。




「みんなから…見えてないですかね?」




みんなのいる所からは離れているし、背を向けているから誰だかわからないかもしれないけど、でも…。


見つかったらどうしよう。


そんなスリルに、ドキドキが加速した気がした。





「…ねえ、キスしてよ」







「え!?」



何言ってるの!?

見つかったらダメなのに、私たちってわからなくても見えてるかもしれないのに…。



「岩陰だから、見えたとしても頭くらいしか見えないよ」


「で、でも…」




だけど、焦る気持ちとは裏腹にキュンと締め付ける胸。



「スリルあった方がドキドキしてるでしょ」




全て見透かしたみたいにニヤリと笑う佐伯先生には、敵わなくて。


ん、と閉じた眼鏡の奥の瞳に、体が勝手に動いて。


まつ毛、長い…。



こんな無防備な顔、私にしか見せてないのかな。

そうだったらいいな。