佐伯先生の優しすぎる嘘





「佐伯先生がその、水着が…えっと」




色気がありすぎるから、なんて恥ずかしくて言えない。



「ん?」



「か、格好良いから、声かけられるんじゃないですか…」





一瞬驚いた佐伯先生は、私の髪を優しく撫でて、それからゆっくり顔を引き寄せた。




ふわり、と触れた唇。

すぐに離れて、もう一度重なる。



なん度も繰り返すうちにだんだん甘くなるそれに、息をするタイミングも分からなくて。





「っ、はぁ…」




やっと少し顔が離れて、乱れた呼吸を整える。




「水島さんは、ずるいね」




眉を下げて笑う佐伯先生。

意味分からない。

ずるいのは佐伯先生でしょ?





「俺を煽るのうまいよね。
しかもその水着、何なの?」




「に、…似合ってないですか…」




佐伯先生のために大人っぽくしたけど、やっぱり背伸びしすぎたかもしれない。





「男子がみんな水島さんのこと見ててイラつく」





「っ、え」




「他の男まで誘惑しないでよ」




他の男まで、って。





「さ、佐伯先生は誘惑されたの!?」




びっくりして思わず言ってしまってから、何恥ずかしいこと聞いてるんだろう、と焦る。

佐伯先生は右手で口元を隠して横を向いて、




「…当たり前でしょ」




って、聞こえないくらい小さい声で呟いた。